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え、何? ナニが起きてるの?
いつの間にか、いっちゃんの膝の上に横向きに乗せられてて。
肩と頬に、いっちゃんの手が添えられてて。
斜めに傾いた秀麗なカオと綺麗な薄い唇が、覆いかぶさってきてて。
――ペロッ
唇の端が、ペロリと舐められ――
「……っ、うわぁん! いっちゃんの馬鹿ぁ!」
「うっ! うぉっ……んぐっ!」
「チカはポッキーゲームがしたかったんだよう!
だから、このリベンジは、また来年しにくるから、絶対覚えててっ!」
馬鹿、馬鹿! いっちゃんの大馬鹿!
ポッキー食べながらドキドキして!
すっごくすっごくドキドキしたまんま、お互い照れながら、そうっと『チュッ』ってしたかったのにぃ!
「チカのワクワクな計画と乙女なドキドキの両方、返してよぉ! うわぁんっ!」
いっちゃん、マジ大馬鹿!
来年こそ、リベンジするんだからっ。
『ちゃんとしたポッキーゲーム』を!
――――壱琉の腹に合気道初段者のキョーレツな肘鉄をくらわせ、ついでに手に持っていたポッキーを束で壱琉の口に突っ込んでからその膝から飛び降りたチカは、気づいていない。
『来年もポッキーゲームを仕掛けにくる』と宣言したことで、壱琉に周到な準備期間を与えてしまったことを。
そして、秋田正親16歳。
料理裁縫、家事全般得意なオトメンであっても、生物学的には確実に『男の子』。
当然、『乙女なドキドキ』は壱琉からは回収不可能なのだということに――――
―END―
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