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 ずきずきと胸が痛んだ。こんなことぐらいで傷ついているなんて知られたくないのに、シオンの表情からアオはそれが叶わなかったことを知る。シオンは舌打ちすると、アオから顔をそむけた。 「そのクソ忌々しい匂いをまき散らしてるんじゃない」 「な・・・・・・っ!」  ひどい言葉を言われているのだという自覚はあった。あまりの言葉に、普段のアオなら文句のひとつやふたつ言い返しているはずだった。なのになぜだかその瞬間、アオはシオンから見捨てられたのだと感じた。  どうしてこんなに胸が痛むのだろう。こんなやつにどう思われたって、自分には関係ないはずなのに。そんな目で見られることなんて、とっくに慣れているはずなのに。  再び目眩がした。 「・・・・・・とりあえずは屋敷に連れて帰る」 「そうですね。これからのことを考えないと」  おそらく自分のことを相談しているのはわかったが、シオンたちが何を話しているのかまではわからなかった。  ドッ、ドッ、ドッ、と鼓動が大きな音を立てている。  俺は帰る、と言ったつもりが、「おれぁかえる」と呂律が回っていないことにもアオは気づかなかった。  視界がぐるぐると回る。だめだ、気持ちが悪い・・・・・・。 「おい。お前具合が悪いのか?」  シオンが何かを言った気がするが、次の瞬間、アオの意識はフェードアウトした。
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