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目が覚めると、アオは見知らぬ部屋のベッドに寝かされていた。
ここは・・・・・・?
パチパチと、木々が爆ぜる微かな物音が聞こえる。
まだぼうっとした頭で、アオは首だけを動かし、ぐるりと室内のようすを眺めた。室内は薄暗く、調度品のシルエットがぼんやりと見えるだけで、自分がどこにいるのかわからなかった。部屋の隅で、暖炉の火が小さく燃えていた。そうしているうちに目が慣れてきて、室内のようすがわかってきた。
広い部屋だ。アオたちが普段暮らしているアパートの二部屋をすっぽり収めても、まだお釣がきそうだ。重厚なカーテンや、タンス、テーブルやその上にのっている花瓶に生けた花も、すべて金がかかっているのがわかる。アオがいま寝かされているベッドでさえ、信じられないほどの心地よさだった。そのままうっとりと目を閉じかけて、アオはハッと目を開いた。
ここはどこだ?
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