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小雪がちらつきそうな寒い夜だった。ゴミ溜めのような路地裏には、アオと男のほかには誰もいない。
「アァッ・・・・・・! アッ!」
男の身体からは何日も風呂に入っていないような、饐えた臭いがした。アオはこみ上げる吐き気を必死に堪えながら、男の赤黒い醜悪なソレを口で愛撫する。
「おお・・・・・・っ! たまらねえ・・・・・・! ああぁ・・・・・・ッ!」
ふいに髪をきつく引っ張られ、目尻に涙が滲んだ。
くそっ。早くイキやがれ!
アオが心の中で毒づいた瞬間、生臭いものが口腔内に放たれた。アオはごほごほっと噎せた。発情期だったら別だろうが、いまの時期、嫌悪しか感じられない他人の体液を飲み込んでしまい、吐きそうになる。男は、そんなアオを見てにやにや笑った。
「うまいだろ。全部飲み干せよ」
くそったれ! アオは心の中で罵声を浴びせると、考えていることを相手に悟らせないよう視線を伏せ、口元を拭った。
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