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翌日、アオはすぐに職探しに出かけた。オメガであるアオが何の紹介もなく、新しい仕事を見つけるのは厳しい。実際、仕事はなかなか見つからなかった。たとえ求人があったとしても、アオがオメガであることがわかると、すぐに門前払いを食ってしまう。何日も足を棒にして探し回り、段々と焦燥が募ると、アオの脳裏に「もうひとつの仕事」の影がちらつき始めた。おそらく以前のアオだったら、それがどんなに望まない行為であれ、仕方のないものだと受け入れていただろう。けれど、諦めようとするたびに、なぜかシオンの顔がちらりと浮かんだ。
「あともう少しだけ。もうちょっとだけ探してみよう」
アオは、自分がいったい何を気にしているのかわからなかった。もう二度と会うはずのない男を想っていったい何になるのだろう。
そうこうしている間に、街外れの産業廃棄物の処理工場で求人があると聞き、アオはようやく職を得ることができた。
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