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 それからさらに三日がすぎると、アオはすっかり身体が楽になっていることに気がついた。あんなに重かった頭も、何かの匂いを嗅ぐたびにこみ上げてきた吐き気も、嘘のように消えている。  幸いなことにこれまでは一度も特効薬を使ったことはなかったが、正直、薬の副作用がこんなにしんどいものだとアオは初めて知った。できればもう二度と使うようなハメには陥りたくない。  ここ数日の間に、軽く二、三キロは落ちてしまった貧相な身体を見下ろしつつ、アオは室内に視線をめぐらせた。リコはどこにいったのだろうと思いながら、ベッドから下りようとした瞬間、くらりと目眩がして、そのままずるりと落ちそうになった。  そのときちょうど、リコがカイルと話をしながら部屋に戻ってきた。 「わあ、アオ大丈夫!?」  リコは慌ててアオに駆け寄ると、その身体を支えてくれた。アオの背中に形を整えたクッションを挟み込むと、楽な姿勢をとらせてくれる。 「もう、無茶しないでよ!」  腰に手を当ててぷりぷり怒るリコを、カイルはほほ笑ましそうに見ると、 「具合がよさそうでよかったです」  とアオに言った。  リコが背後にいるカイルを振り返って、うれしそうにほほ笑んだ。相手を信頼しきったようなリコの柔らかい表情を見て、アオは一瞬、おや? と思った。カイルを見るリコの表情が明らかにいままでとは違う。まるで霧が晴れたように明るかった。  アオはベッドの上で居住まいを正すと、まっすぐにカイルを見た。 「発作を起こしたときのことはうっすらとだが覚えている。・・・・・・あいつに、バカだと怒鳴られても言い訳のしようもない・・・・・・。今回は・・・・・・、いや、今回もなのか、カイルたちには世話になった。リコのこともだ。この通りだ」 「アオ~・・・・・・!」  深く頭を下げたアオの横で、リコは少しだけ居心地が悪そうにもじもじとした。 「礼を言われるほどたいしたことはしていません。シオンが・・・・・・、彼があなたの匂いがすると言って、いきなり走り出したのですよ。まさかと思っていたら、本当にあなたが倒れているから驚きました。何事もなくて本当によかったです」  えっ、あいつが・・・・・・?
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