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 シオンが自分なんかのために焦ってくれたと聞いて、アオはうれしかった。本心では自分の存在などシオンにとっては迷惑だとわかっていたのに、ひとりで浮かれてバカみたいだと思う。  アオは、ほほ笑んだ。 「アオ・・・・・・」  リコが顔を歪ませ、ぎゅっと首にしがみついてきた。アオは不思議に思った。  リコはどうしてそんな泣きそうな顔をしているのだろう?  ぽんぽんと弟の腕を慰めるように軽く叩き、アオはカイルを見やった。 「あんたにも世話になった。二度も助けてもらっておいて、何も礼ができないのは申し訳ないけど、具合もよくなったから帰るよ」 「アオ、それなのですが、しばらく屋敷に滞在してほしいとのことです」 「えっ」  アオは驚いた。カイルに命令できるような人物は、アオにはひとりしか思い当たらなかった。けれど、シオンがそんなことを望むなんて信じられない。 「で、でも、具合はよくなったし、俺たちがここにいる理由は何もない・・・・・・」  ぐらぐらと気持ちが揺れる。アオは、カイルの言葉を信じたかった。けれど、すぐにそんなことはあり得ないと、自分を見つめるシオンの冷たい表情を思い出す。  アオの迷いは、きっと表情にも表れていたことだろう。落ち着かないようすで視線を泳がすアオに、カイルはとんでもない爆弾を落とした。 「理由ならあります。あなたは、シオンの”運命のつがい”なのですよ」
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