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「お前も早く部屋に戻るんだな」  ふたりの立ち去る気配を感じて、アオは肝心なことをシオンに訊ねていないことに気がついた。 「あ、あのさ、カイルから聞いたんだけど、しばらく屋敷に滞在してほしいってあんたが言っていたって。そんなの、嘘だろ? あんたがそんなこと言うはずがない。何かの冗談だろう・・・・・・?」  あんたが俺の”運命のつがい”だって、ほんとに・・・・・・?  シオンが振り向く。鋭い視線にそれ以上は口にするなと咎められているようで、アオは勇気が挫けそうになった。 「事実だ」 「えっ」  アオは、ハッとしたように顔を上げた。アオを見つめるシオンの表情からは、彼が何を考えているかわからなかった。  事実だって、いったい何が? どっちが? 「どうせ外に出ても早々にお前は問題を起こすに決まっている。それぐらいなら、ここでおとなしくしてろ。それから、屋敷の者には誰彼構わず手を出すなよ」 「なっ・・・・・・!」  かあっ、と羞恥で顔が熱くなる。バカにされていることはわかった。シオンが自分に対してどう思っているかも。 「お、俺がどうなろうと、あんたに関係ないだろ・・・・・・っ!」  怒りのあまり、ぶるぶると震えるアオに、シオンは冷たく一瞥した。 「確かに関係はないな。迷惑だからこれ以上よけいな手間を増やすなと言っているんだ」  アオは、唇を噛みしめた。握りしめた拳がぶるぶると震える。言い返せない自分が悔しかった。それなのに傷ついてもいた。 「いいな。よけいなことはするなよ」  シオンが言い捨てる。  アオは自分に気持ちが不可解だった。シオンの言動にいちいち振り回されている自分が。  ふたりが立ち去っても、アオはしばらくその場から動くことができなかった。
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