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 アオは、カイルにシオンと会うことができないかを訊ねた。最初は玄関ホールなどで待ち伏せをすることも考えたのだが、すぐにそれが簡単でないことに気がついた。ただでさえ多忙なシオンはつかまえることが難しい上、彼のほうは反対にアオを避けている節さえあったからだ。 「シオンにですか? それはあまりよい考えだとは思えませんが・・・・・・」  案の定、アオの言葉にカイルはよい顔をしなかった。それでもアオがしつこく粘ると、渋々とその日のシオンのスケジュールを教えてくれた。  その夜。アオは念のためカイルに教えてもらった時間よりも早く、玄関ホールのソファに陣取ってシオンの帰りを待った。途中、通りがかりの使用人に不審そうにされたけれど、アオは気にしなかった。  玄関の前に、黒塗りの高級車がすっと止まる。運転手が下りてきて後ろに回ったら、後部ドアからシオンが出てきた。 「シオン!」  シオンはアオに気がつくと、明らかに嫌そうな顔になった。そのまま無視してアオの横を通り過ぎようとする。アオはシオンの腕をつかんだ。 「シオン! 待てよ! 俺、あんたに話があるんだ」  シオンが足を止める。射るような青い瞳に見据えられて、胸がツキン、と痛んだ。それでも負けまいとアオが視線をそらさずにいると、シオンは諦めたようにため息を吐いた。 「何の用だ」  アオは、ぱっと目を瞠った。シオンが話を聞いてくれる。そのことが無性にうれしかった。 「あの、俺、ここで世話になっている間、何か仕事がしたいんだ。あんたたちに助けてもらったのは感謝している。リコがカイルのつがいの相手だっていうのも、正直びっくりした。でもさ、それだけじゃ俺たちがここにいていい理由にならないだろ?」  いつシオンの気が変わっていってしまうかわからない。勢い込んで告げるアオに、シオンは怪訝な顔をした。 「どういう意味だ」
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