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 アオは、シオンに自分の気持ちを伝える気はなかった。だから頭を振ると、シオンはますます困った顔をした。そんなシオンを見つめ、アオは心の中でひっそりと願った。いまこの瞬間だけでいい、シオンがほしい、と。  神の存在なんて信じたことはない。アオが本当に助けをほしかったとき、願いが叶ったことなんてなかったから。でも、もしも願いが叶うのなら。神でもキリストでも何でもいい。そんな存在がいるのならば、どうか、どうか・・・・・・。  ーーいまだけ。それ以上は何も望まないから、いまだけシオンを俺にください。  目を閉じて、初めてアオからシオンに口づける。何でもないふりをしていたが、鼓動はこれ以上ないくらいに鳴っていた。シオンに避けられなかったことにほっとして、薄く開いた唇からそっと舌を差し入れた。  好き。  言葉に出すかわりに、シオンに触れるたびに、アオは心の中でそっとささやく。そのたびに、アオの中で言葉に表せない何かが、まるで湧き水があふれるようにぽたりと零れ落ちる気がした。  シオンが好きだ・・・・・・。  最初はアオのほうが上にいたはずが、いつの間にかくるりと体勢が入れ替わり、シオンに主導権を取られていた。  シオンの舌は絡め取るようにアオの舌を吸い上げ、口の中を自由自在に動き回る。 「ふぅ・・・・・・ぅっ」  飲み下せない唾液が口の端から伝い落ちる。アオは、ぼうっとのぼせた頭で、夢中でシオンの舌を追った。 「あっ!」  シオンの手がアオの乳首をかすった。そんなとこ感じるはずはないと思うのに、身体の奥でむずむずするような感覚がある。シオンはいったん唇を離すと、アオの首筋にキスをした。一瞬強く吸われて、じんと痺れるような刺激が腰のあたりに走る。 「シ・・・・・・オンッ!」  シオンの指先がこねたり摘んだりしてアオの乳首を刺激する。乳輪からぷっくりと立ち上がったアオの乳首は、シオンの愛撫を喜んでいるようだった。シオンはアオの胸を口に含むと、ひどく敏感になった乳首を舐め、軽く歯を立てた。 「あぁっ・・・・・・!」
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