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「…。…魔法見たことないって言ってなかったか?」 「ツェーザルは息をするのにお手本が必要なのか?」 「竜だって親に教えてもらうのが普通だぞ?つくづくよく分からん兎だな」 なにか考えていたツェーザルだったが、次に亜竜が現れると、こう言った。 「次は水で倒してみろ」 「ふぬ!」 「首を一撃か…」 「お?亜竜どもがいっぱい出てきたのだな」 「縄張りだったのかもな。都合がいい、ひと通り試してみるか」 わたしはツェーザルの指示通りに魔法を使った。 火でこんがり焼いたり、風の刃で切り刻んだり、雷を落としたり、木を生やして締め殺したり、氷の柱をぶっ刺したり。 亜竜を一掃してまわりを見ると、地形が変わっていた。 魔法ってキケンなのだな。 「光と闇はまわりの被害が甚大になるから今はやめておくか。 しかし、この分だと全部の属性が使えるんじゃないか?末恐ろしいな」 「ヴァイスが魔法を使えたらご主人は喜んでくれるか?」 「ご主人?って誰だ?」 「ご主人はご主人なのだ!ヴァイスの飼い主で、竜の巣にヴァイスが行く直前まで一緒だったぞ!」 わたしの答えは予想外だったのか、ツェーザルは開いている片目をパチパチと瞬かせた。 「お前、誰かに飼われてたのか?竜の巣に行く直前っつったが、竜の巣の前はどこにいたんだ?」 「む?むーん…ご主人の家の近くである!」 「竜の巣からそのご主人とやらの家は離れてるのか?」 「たぶんめっちゃ遠いぞ!」 ツェーザルは眉をひそめた。 人間の顔はほぼ見分けがつかぬが、ツェーザルは髪が紫だし目も赤いし傷跡もあるし、特徴盛り沢山なので分かりやすい。 分かりやすいのはいいことだ。 「転移が暴発したのか?…いや、人間に転移を使える奴はいなかったはず…」 「そんなことより、腹が減ったのだ!人参を所望する!」 「おチビ…お前、見た目通りの脳みそだな。喋れてるのが奇跡だ」 「どういう意味かッッ!」
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