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コンスタンツェにもらった金貨でまずなにを買ったかといえば、人参…ではなく服だ。
兎時代、人間はよく皮を変える不思議な種族だと思っていたが、皮じゃなくて服らしい。
たしかに肌はすぐに傷つきそうで、服で覆わなければいけないという気持ちも分からんでもない。
とはいえ、あれもいいこれもいいと目をギラつかせる店員と一緒になって、おもしろがって山盛りの服を持ってきたツェーザルは許さん。
絶許である。
金貨はまだまだあるが、確実に減ったのだ!
つまりは買える人参が減ったということではないのか!?
「お前の頭ン中は人参ばっかりか」
力説したが、ツェーザルに頭を小突かれる。
「ご主人のことも考えてるぞ」
「ご主人、ご主人ねえ…。おチビの話によくそのご主人が出てくるが、どんな奴なんだ?」
「ご主人のことが聞きたいのか!?ならば話すこともやぶさかでないぞ。
ご主人はな、人参をたーくさん持っているのだ」
「…。それで?」
ダメだこいつ、みたいな顔を即刻やめるのだツェーザル。わたしのご主人への愛はすごいのだぞ。
「なんと!ヴァイスはご主人の顔を見分けられるのだ!」
「…え?逆に聞くが、お前ほかの人間の顔見分けついてないの?俺の顔も?マジ?じゃあどうやって見分けてるんだ」
「ツェーザルは髪が紫だから見分けがつきやすいぞ。目が片方しか開いてないのも高ポイントである」
「そういう感じか~…」
なにやらツェーザルがうなだれている。
通行の邪魔だからやめるのだ。
「…あ、ここがギルドだ」
「ほーう。これがツェーザルの仕事場なのだな」
赤茶けたレンガにツタが這う大きな建物。
それがギルドだった。
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