いち

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「グルルルル」 「グゥ?」 「ゴアアアアア!」 光がやむと、ご主人の温もりが消え失せ、代わりに硬くて冷たい地面の上にわたしは放り出されていた。 もう…げん、か…い…。 先ほどから頭上で鳴り止まない、ギャアギャアグルグルいう爆音も気になるが、わたしの意識はすこんと落ちたのであった。 『あれ、寝ちゃったよ?』 『大変!こんなに小さくてか弱いのに、死んじゃう!』 『傷はないのに死臭がしはじめてるぞ?毒でも食らったのかもしれない』 『急がなきゃ!』 川の向こうに人参畑と死んだはずの兄弟が見えたと思ったら、強烈な鉄臭さで叩き起こされた。 「キュ!?」 『いやーん「キュ!?」だって、可愛い!』 『こんなに弱そうな生き物に、竜の血なんてむしろ毒かと思ったけど…奇跡的に生きてるね』 『確信なかったのに血ぶっかけたのかよ。ひどいな』 わたしよりも果てしなく巨大な化け物達が、額を突き合わせて何やら話し合っている。 …ごごごご主人!! あなたの大事なヴァイスが餌になろうとしているぞ!! 至急お助け!!! 心の中で絶叫していると、オレンジっぽい化け物が長い首をにゅっと伸ばして、わたしに顔を寄せてきた。 『大丈夫?生きてるよね?なんかプルプル震えてるけど…』 開いた口から覗く、鋭すぎる大量の牙!チロチロ出し入れされる二股に分かれた舌。 「…ふぅっ」 『『『あ』』』 わたしが気絶したのは、自然な事だったと思うのである。
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