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わたしが突然、化け物もとい竜の巣に放り込まれて、数日がたった。 竜の幼体三兄弟ーーー長男である薄水色の竜改め“青いの”、長女であるオレンジっぽい竜改め“黄色いの”、次男である白い竜改め“白いの”と打ち解けるのは、割とすぐだった。 ちょっと練習したら、わたしも喋れるようになったのは、どうやら竜の血のおかげだそうだ。 これでご主人と再会した時、綿密なコミュニケーションもバッチリなのだ、ぐふふ。 わたしは三匹に、ご主人とはぐれ、探したい事を告げ、そしたら青いのが「それなら行動範囲の広い母さんに聞いてみればいい」と言うのでその母さんとやらを待つ事数日。 真っ赤で三匹など比べ物にならないほどに巨大な竜が、巣に降り立ったのであった。 『いい子にしていたか?…む?なんだこの白い小さいのは』 この母竜、わたしに気づくの早すぎだ! わたしは母竜の垂れ流す圧倒的強者の威圧感にすっかり怯えて、何も喋れなくなっていた。 「白い小さいの? …うっはは!マジだ!なんだこいつ小さいな!しかもふわっふわ!」 母竜の存在感がありすぎて気づかなかったのだが、どうやらその背に人間が乗っていたようだ。 母竜の背から飛び降りた人間は、わたしに寄ってくると遠慮なくわたしを掴み上げた。 後ろ脚がぷらーんとなるのが気になるが、わたしはその摩訶不思議な人間と顔を合わせることになった。 顔の片面に三本、獣に引っ掻かれたような傷が頬にかけて走り、そちらの目は潰れているのか閉じられている。 開いている方の目は真っ赤で、髪は紫色。 興味深げにじろじろとわたしを見るそやつを蹴ろうとするのだが、わたしの脚は虚しく空を蹴るのみである。
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