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「…ゴホン!
ではではあらためまして!ご紹介にあずかりました、音の極者ホルガーと申しますぅ!どうぞよしなに…」
復活したホルガーがうさんくさいくらいにニコニコしながら手を差し出してきた。
わたしはその手をペチンとたたく。
「いきなり魔法撃ってくるやつとはよろしくしたくないのだ」
「おおっとこれは手厳しい…!いやですね、ワタクシすこうしばかりテンションがあがりやすいタチでしてイヒヒヒ!」
「意味分からぬしなんか危ない薬でもやってるのか?」
「いーえいえ滅相もございません!」
人間の顔の見分けが微妙につかないわたしでも、ホルガーは一目で見分けられるだろう。
薄いくちびるを紫に塗りたくり、つまんだように高い鼻と細い顎。灰色の目の周りは黒く囲まれていて、極めつけの黒くて長いオールバック。
身長もひょろ長いから後ろ姿だけでも見分けがつこうというものだ。こんなに特徴の塊な人間は見たことがない。
「ところでヴァイスさん、どのようにして音魔法を習得なされたので?あれは原理がこの世界にまだ浸透していないので使える者がほとんどいないのですよぉ!」
「どのようにと言われても、キサマがお手本を見せてくれただろうに」
「天才は原理をすっ飛ばして使えるのですか…。ワタクシの苦労…」
今度はホルガーが落ち込み始めた。
テンションがギュンギュン変わるのでついていけないのである。
「てっきり転生者かと思ったのですが、ね」
「転生者?なんだそれは」
「ワタクシのように前世の記憶を持つ者のことですかねぇ!」
「うーむ。ヴァイスは兎ゆえ、違うと思うのだ」
「兎?」
わたしはツェーザルの顔を見上げる。
「こいつらには言っておいたほうがあとあと楽そうだぞ」
「そうか」
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