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徐々に触り方に遠慮がなくなってきて、一抹の不安を覚え始めたころ、男性陣も話し合っていた。
「《闇》、どういうことです!?なぜ地球の兎が…!」
「落ち着け、《音》。俺はあいつが知人に拾われたのを引き取っただけだ」
「地球ってホルガーがいた異世界だよね?あの兎モドキ、異世界からきたの?」
「…異世界の兎は人化できるのか。こちらの世界の兎とはかなり違うな」
「そんなわけないでしょう!地球の兎もこの世界の兎も位置づけはさして変わりません!知能もないに等しい圧倒的弱者ですよ!」
「…あの兎が特別なのか」
「そのようですね」
「アレの出所はどうでもいいが、極者補佐を務められるほど賢いのか?一応対話は成立するようだが」
「まあ、アホだが魔法の才能やセンスは抜きんでているから問題ないだろ」
「ならいい」
遠慮というものが消え失せ、もみくちゃにされ始めたのでやっとのことで脱出し、ボソボソと密談する男どもの中からツェーザルを見つけ出してその足にしがみついた。
「ん、どうしたおチビ」
「ヴァイスは疲れたので散歩にでもいくのだ!」
「その姿だと驚かれるから人間になっておけよ」
「わかったー」
人間に変身!するとみな、ギョッとしたあとに顔を勢いよく背ける。
「ここで人化するやつがあるか!服を着ろ!」
「ヴァイスは気にしないぞ?」
「周りが気にするんだよ!全裸で歩き回るな!胸を張るな!はやくドレス着てこい!」
「分かったのだー。クリスティーネ、マーリアおばあちゃん、メルツェーデス、ドレス着るの手伝ってー」
「あなたね、もっと慎みを持ちなさい」
「若い女の子は簡単に殿方に肌を晒すものではありませんよ」
「ドレスを着ましょうねぇ、ヴァイスちゃん」
女性陣からも非難轟々である。
うかつに人前で全裸になってはいけない、わたしはまた一つ賢くなったのだった。
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