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わたしの可愛さにやられていたツェーザルだったが、ふと顔を上げた。
視線の先には岩…いや、トカゲか?トカゲにしては大きすぎであるが。
明らかにわたし達を食べ物と認識している様子のトカゲ…?を見て、ツェーザルは面白くなさそうに鼻を鳴らした。
「亜竜ごときが俺の行く手を遮るか」
ヨダレを撒き散らしながらぐわっと大口あけて迫るトカゲ…?に対して、ツェーザルはその口が手で触れられる距離まで引きつけてから、下顎をかち上げるように蹴りを放った。
パン、と弾ける音がして、トカゲ…?の頭は爆散四散したのであった。南無。
ツェーザルがスタスタと歩みを止めない隣で、トカゲ…?の死骸はグボンと、黒いネトッとした感じのものに呑み込まれた。
「今のなんなのだ?」
「おチビ、魔法を見るのは初めてか?」
「うむ!」
魔法、魔法…。
ご主人も使えたのだろうか。
ケージの中は狭すぎて、なにも分からないのである。
「外に出たのは初めてなのでな!」
「そうか。ならこのツェーザルさんが色々教えてやろう。
まず今しがた倒したのは亜竜。竜モドキだ。一緒にされると竜は怒る。ちなみに、飛竜タイプと地竜タイプ、海竜タイプがいる」
「ふむ。ではあやつは地竜タイプなのであるな?」
わたしが前脚を突き出した先には、先ほどよりも大きいが、同じようなトカゲっぽいのがいた。
「今日はよく湧くな…」
「あやつはヴァイスが殺るのだぞ!」
ツェーザルはまじまじとわたしの顔を見、呟いた。
「…どうやって?」
「失礼なのだ!…ふん!」
わたしの気合の声と共に、目にも留まらぬ速さで地面が隆起し、亜竜をあっさり刺し貫いて、剣山のようになってからとまった。
「どや!」
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