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「へっくしょん」 帰宅ラッシュを少し過ぎ、人がまばらになった駅に僕のくしゃみは響いた。 木枯らし1号が吹いた日の夜までの装備にしては薄着だったらしい。 僕はトレンチコートの前をかき合わせながら足早に駅を出た。 どうも風邪っぽい。まだ衣替えもせず、私服は夏物を誤魔化しながら着ていたのもたたっているのかもしれない。 こんな時に結婚でもしていたら、衣替えはもちろん、部屋を暖かくして待ってくれている奥さんがいるんだろうなぁ。 独り暮らしの僕はそこまで想像してむなしくなっただけだった。
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