2 危ないお仕事

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「マスター、手間をかけさせたな」 「いえ、九条様のご依頼ですから」 「後のことはウチのもんに任せてくれ。ああ、分かっていると思うが……」 「はい、私は今日、何も見てないし、聞いていません」 「うん。今後ともよろしく頼むよ」 「はい」  九条と呼ばれた眼鏡の男は、荷物のように晶を肩に担ぐ。  何の薬を飲まされたのか分からないが、晶の意識はもうないようだった。 「ま、待てっ……! その子をどこに連れて行く気だよ! その子を離せよ!」  慌てて立ち上がり、ドアの方に歩きかけた眼鏡の男の服を掴む。 「ああ……?」  振り向いて目が合ったその男は、視線だけで人を殺せそうな威圧感を放っていた。  圧倒され、手が震えそうになるのを堪えて、睨み返す。  そんな陽翔を見て、眼鏡の男は面白そうに笑った。 「心配しなくても、お前も行先は一緒だよ」 「何をっ……ぅ、くぅ……!」  急に目の前がぐるぐると回って、気持ち悪くて立っていられなくなった。  意識が遠のく。  手足に力が入らない。 「なんで……僕、も……――」 (ああ、水だ。さっきマスターが持ってきた水に――)  男の服を掴んだまま、陽翔の意識は真っ暗になった。
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