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「つー訳で、腹減ったから何か作って」
「こんな夜中に食べると太るよ」
「女じゃねぇんだからいいんだよ!」
「だからそういう意味じゃないってば……。ああもう、作るよ! 作るってば! オムライスでいい?」
「何でそんな女々しいチョイスなんだよ!」
「僕がオムライスの気分なの!」
「じゃあいい」
(結局オムライス好きなんじゃん……)
『女扱い』ではないと聞くと晶はあっさりと引き下がって、陽翔が丁寧に乾かしたさらさらの髪をまた無造作に頭の上でまとめた。
正直、晶がいくら抗ったところで、美少女が彼氏のTシャツを着てラフなスタイルで寛いでいるようにしか見えないのだが、言ったところで晶の機嫌が悪くなるだけだ。
(晶のやりたいようにすればいいよ。どうせ僕は、晶についていくだけだから――)
1Kのボロアパート、その狭いキッチンに立って、陽翔は慣れた手つきでオムライスを作り始めた。
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