3 『仕事』のツケ

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 手がかからなくなった陽翔から離れて、九条は晶の方に戻ってくる。  ベッドの脇に悠々と腰掛け、晶と陽翔に向かって口を開いた。 「さて、撮影を始める前に主演女優と男優その1には説明しておかないとな。君たちはウチの会社のシマで、ウチの会社の社員を虚仮にしてくれました。ウチは飲食店を管理するだけの真っ当な企業だけれども、それでも面子を潰されると色々とやりにくいところがあるんだよね。だから、君たちには見せしめになってもらいます。や、最初はね、頭が馬鹿になるお薬をちょっと打って、外国にでも売り飛ばしちゃえばいいかなーって思ったんだけど、実物見たら思ったよりアキちゃんが可愛かったからさ、ウチの副業の動画販売の方でアイドル女優としてデビューしてもらうことにしました。君、運いいね。君一人だったら完璧外国だよ。それも臓器の状態で」  九条はさも面白そうに陽翔を指さした。 「っ……だったら! だったらオレだけ捕まえればいいだろ! お前のシマで、お前の部下から金を盗んだのはオレだ! コイツは顔見知りなだけで何も関係ねぇ!」 「でも、仲間だろう?」 「別に仲間じゃねぇよ! 勝手にくっついてくるストーカーだ! いつも迷惑してんだよ!」  晶の発言を真に受けて、陽翔が悲し気に顔を曇らせる。 (馬鹿っ……! お前が騙されてどうすんだよ! オレは、お前を助けようとしてんだろうが! 阿呆っ!) 「なるほどね。そうやって他人のフリをしてまで、幼馴染を助けたい訳だ? 麗しい友情だね」  むしろ本当に騙したい九条の方が、晶の意図を汲み取っている。 (クソッ……。て、あ……? 幼馴染……?)  何気ない単語にぞっとした。 (この野郎――オレたちの関係性まで正確に把握している――……!)  陽翔から聞き出したのだろう。  頭が悪い陽翔は、それがどんなに不利になることかなんてお構いなしに訊かれるままにべらべら喋ったに違いない。 (まさか――あのことも喋ったんじゃねぇだろうな……!)  晶は陽翔をじろっと睨み付けたが、案の上、陽翔はただ訳も分からず青ざめるだけだった。
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