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実際のところこの店は、「注文(を取りにくる回数)の多い料理店」だったのである。以前ここを訪れたときの記憶は、新たな思い込みによりすっかり掻き消されている。
「思い込みの激しい悦郎」は、「お会計お願いします」と何度も声に出して言ってはみたが、「記憶力の悪いウェイトレス」はじっと彼の目を見つめたまま、それを確信を持って聴き流している。彼女が耳を傾けてくれるのは、「紙質の悪いメニュー」に書かれてある品目を告げたときだけだ。
もう家に帰ることはできないのかもしれない。
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