第3部

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  五月二十日。啓子先生のスタジオに、高倉和夫、新居浜健吾、安井慶喜、勝田富士夫、山田希久子、深井邦子、安井芙紗江の八名が揃った。「啓子先生のスタジオ」というと、皆が通っている大阪狭山市立体育館ではなく、狭山池近くの啓子先生の自宅の二階にあった。啓子先生の自宅は三階建てのビルで、一階は「カフェ」、三階は啓子先生の自室だった。  「まあ、はいってよ」、啓子先生が言った。啓子先生の自宅の二階は、「ダンス・スタジオ」になっていた。  「ダンスの構成を考えましょうよ」「構成って?」「はじめは一人ずつ・ちょっと並んでみて」。 「前列は女性、後列は男性ね」、啓子先生の言葉に熱がはいってきた。  二部  高倉和夫、新居浜健吾、安井慶喜、勝田富士夫、山田希久子、深井邦子、伊藤晴菜、安井芙紗江の八名が、啓子先生のスタジオに集まった。  「さあ、練習はじめましょう! 初めは、一人でやる動きね。横にサイド・ステップ、そうそう・・・。次は前後の動きね・・。動きを揃えて。八人がばらばらじゃなく、揃えるの。そうそう、良くなってきたわ」。  「ラストをどうするか?考えましょうか?」「ラスト? 一人でやる動きからいきなりラストですか?」「そうじゃなくて、次やることは、後で考えるとして・・。終わりよければすべてよしで、ラストは大切なのよ。ラストが決まらないと、採点に響くのよ」「採点?」「採点されるんですか?」「もちろんよ、大会ですもの」「化粧ののりぐあいも?」「髪型も?」「あたりまえよ!」「皺は?」「皺は、関係ないわ。多い方が、むしろ採点はあがるかもしれないわ」、啓子先生は意味ありげに断定した。
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