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蛇が俺を見ると、自分の上に乗せていた。俺は蛇の胴を枕にすると、やはり胴に抱き付いて眠ってしまった。
目覚めると目の前に蛇がいて、思わず叫びそうになった。しかし、光二の心臓で眠っていた事を思い出す。いつも、目覚めると切り代わっていたので、心臓で目を覚ますなど滅多にない。
時計を見ると早朝であったので、まだ切り替わっていないのかもしれない。しかし、外を見て俺は再び叫びそうになってしまった。
今度は目の前で眠っていたのは、氷渡であった。ここは、氷渡のベッドなのかもしれない。
『光二、鍋の片付けがあるから家に帰りたいのだけれど』
「ごめん。眠ってしまった……」
光二は裸で起き上がると、シャワーを浴びて服を着込んだ。
「ほら、夜通しできるなんて滅多にないからさ」
氷渡も裸で、少し光二が照れている。
光二と氷渡は恋人同士なので、裸でもいいのだが、俺が見てはいけないものだろう。兄弟でも、プライバシーが必要だ。
そのまま氷渡の家を出て、通路に行くと台風が去っていた。俺は光二と入れ替わると、まだ残っていた月を見上げた。
「台風去って晴れかな?」
しかし例え晴でも、壊れたものは治らない。見回すと、屋上庭園が荒れていた。ここの手入れもしなくてはいけない。
「まあ、家に帰ろう」
しかし、そっと部屋の中の様子を伺いながら、自分の家に入ってみる。ここで、小田桐と八重樫がしていたら、俺は泣きたい気分だ。
「お、並んで眠っている」
小田桐と八重樫は、布団で並んで眠っていた。
俺は空いている鍋を重ねると、喫茶店ひまわりに運んでおく。中身のあるものは、皿に移しラップをかけておいた。皆、大食いなのでそんなに余ってはいない。
鍋を運び終ると、志摩の手が伸びてきて、俺の腕を掴んでいた。
「守人さん、私も連れて行ってください」
志摩は、自分で移動する事ができない。俺は、部屋に行くと、志摩の箪笥を背負って歩き出す。
「志摩、洗い物は直ぐに終わるだろう?庭園を直して欲しいけど」
「分かりました。守人さん」
志摩は鍋を洗うと、手を伸ばして庭園に行き、倒れた木などを元通りにしていた。散った葉も、全部食べて処分している。
俺は米を砥ぐと、炊飯をセットしておく。すると、多美がやってきて、凄いスピードで料理を始めていた。
「昨日は台風で客足が無かったね。損失が出たかい?」
「はい」
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