第四章 雪みたいに花みたいに 四

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 闇を求めて、八重樫を襲う連中が出てくるということか。 「結界、消してきます!」  俺が家から出ようとすると、黒川が腕を掴んでいた。 「やってしまったものは、しょうがないでしょ」  良くなるのか、悪くなのるのか、熟考してから決めろと怒っているらしい。確かに、思いつきで行動してしまった。 「せめて、同居人には相談しようよ……」  そこで、俺は黒川を見てから、目を逸らす。黒川は逸らした目を、強引に自分に向けさせようとしていた。  相談するのならば、李下のほうがいい。李下には一般常識と公務員の経験がある。それに李下はちゃんとした大人で、社会人という気がする。しかし、黒川は、経験は豊富だが一般常識という面では頼りにならない。 「上月、思っていることが顔に出ている。俺では不満なのか?」 「社会人という意味では、黒川さんは俺と同レベルではないかと……」  黒川と口論してから、バイトに行くと、慧一が奥で端末の操作をしていた。慧一がいるということは、紗英さんもこちらに来ているのかもしれない。周囲を見ると、旗幟がカウンターで定食を食べていた。 「旗幟が慧一を連れて来たの?」  旗幟は、紗英の弟で、村に住んでいるので、通学にここを通っている。 「そう。姉さん、野菜中心の食事だからね、慧一さんが肉不足なんだそうだ」  確かに、慧一を見ると、肉と唱えながら仕入を入力していた。  そこで、同じ大学の旗幟と、呪いの車の話題になってしまった。旗幟も事故の話はよく知っていた。 「あの車、まだ、この付近を走っているのか。怖いよね」  車の監視をお願いしたいものだと言うと、いいものがあると紹介された。それは、見たい場所や物の監視システムであった。 「表向きはゲームだけどね、この地図、実際の建物、道路にリンクしていてリアルタイムの映像が見られたりする」  監視カメラ、個人の携帯電話、カメラ機能と通信装置のあるもの全てを、隠れて繋げているらしい。  その機能に、追跡と監視があるのだ。 「怖いゲームだよね」  このゲームは村で作られたもので、一般には売買されていなかった。しかし、ユーザー数がかなりの人数になっている。 「×の目も、カメラと同等に使用できたりする」  これは、本当に怖い。 「このゲームの面白さは、本物の犯罪を追い掛けるということだよ」
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