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すると、廃車がいいのかとの問いが画面に出ていた。画面には。イエスとノーの回答ボタンもついている。ヤツヒロとあるので、谷津からのメッセージかもしれない。俺がイエスと押すと、笑顔のマークが出ていた。
そういえば、谷津を思い出すと、いつも笑っていた。作り笑いというのではなく、笑い上戸であったらしい。先生の顔が面白いと笑い、よく注意されていた気がする。
「あ、レッカー車が事故だ……」
追跡をかけていた、旗幟の画面に、ガードレールから斜面に落ちている青い車が見えた。遡って確認すると、自転車が飛び出し、レッカー車が急ハンドルを切り後部がガードレールに接触、そのまま落ちたらしい。
「偶然なのかな?」
廃車にしたいと願ったが、この事故は谷津の計算なのであろうか、それとも偶然なのであろうか。
しかも、ただ落ちただけであるのに、車が燃えていた。コメントが幾つも入っていて、落ちた際にタンクを破損したのか、液体が下に流れていたとあった。そこに、接触による火花で着火したらしい。
燃えてしまっては、確かに廃車にするしかないであろう。
燃えている車の横で、女性の影が浮いていた。拠り所を無くせば、影だけでは存在できないだろう。炎に燃やされるように、消えてゆこうとしていた。
でも、これで車は消えた。
改めて八重樫が心配で見ようとすると、先ほど警告を受けていたせいなのか、制限がかかっていた。
「八重樫の部屋は十八禁か?」
「いや、これは、宗教団体が出入りする人を見せたくなくて、制限を要請しているようです」
旗幟は、ゲームで仲間を作っていて、情報のやりとりをしていた。
「こういう場合は、制限の入っていないカメラを捜します」
そこで、旗幟は惣菜屋の防犯カメラからアパートを見ていた。
「なるほど……」
俺が結界を張ってしまったので、無事を確認できればいい。映像を見ると静かであったので、そこで満足しておく。
「もしかして、俺のプライバシーなんかもなしかな?」
「それは、上月は守人様でしょ。安全制限というやつで、監視や追跡などできないようになっている。要は誘拐などの犯罪に使用しないように、使用制限がある」
他に、暗殺部隊や征伐部隊も、ゲームで監視、追跡できないようになっていた。
「適当にルールはあるわけか」
でも、危険なゲームのような気がする。
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