第五章 雪のように花のように 五

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 通勤、通学に帰宅ラッシュで混む駅を通過し、八重樫の住む駅へと移動する。走った方が速かったかもしれないが、人目が多くて不審な行動がとれない。  移動中も画像を確認していると、ヤツヒロというコメントが幾つも入っていた。俺の操作が悪いので、谷津がフォローしているようだ。  俺はヤツヒロのコメントに、返信を入れてみた。すると、すぐに返事が来ていた。  谷津によると、今、日本刀を持っている女性は、こちらの世界で生まれた×だという。でも、こちらの世界には闇が少なく、闇を吸収するためにこの宗教団体に通っていたらしい。  そして、闇の供給が突然切れて、禁断症状に陥った。 「×ならば、村に連れて行き消した方がいい」  何故、消すのかと聞く前に、画面が一瞬真っ赤になった気がした。  ヤツヒロは遠隔操作で、うまく画面を繋いでいる。その画面は、いつの間にか部屋の中に入っていた。そこで、何が真っ赤なのかといえば、日本刀の彼女の服が真っ赤になっていた。 『はははは、はははは。皆、死ねばいい』  笑い声が響いている。     
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