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駅を出ると商店街を走り、八重樫のアパートの路地に入った。すると、アパートには野次馬が既に集まっていた。皆、画像を撮るとどこかに送信している。
「こんなに、人目があると処理ができないですね」
そこで、そっとアパートに近寄り、八重樫の部屋をノックしてみた。
「八重樫、又、来た」
何だか、長い一日になっている。日中に八重樫の家に来たのが、遠い昔のような気分であった。
「上月と、李下さん」
八重樫がドアを開けたところで、隣の家から何かが飛び出してきた。それは、包丁を持って血塗れになっている男性であった。
「うわ、ドアを閉めて!」
俺は外に出ようとしたのだが、部屋に引き込まれると、代わりに小田桐が外に出ていた。
部屋で転がっていると、李下も外にいるままであった。
「李下さん!」
俺がドアから出ようとすると、八重樫が鍵をかけていた。
「小田桐ならば平気だし。李下さんもそうでしょ。上月を危険に晒せないよ」
でも、外の様子が気になる。少し窓を開けて見てみると、警察が来ていた。
「隣はどうなってしまったのだろ」
そこで、隣の部屋の仕切りを確認しようとすると、そこは押し入れになっていた。押し入れの隙間に入り込み、隙間を探してみると、小さな穴が開いていた。その穴から覗いてみたが、何も見えない。
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