第五章 雪のように花のように 五

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 駅を出ると商店街を走り、八重樫のアパートの路地に入った。すると、アパートには野次馬が既に集まっていた。皆、画像を撮るとどこかに送信している。 「こんなに、人目があると処理ができないですね」  そこで、そっとアパートに近寄り、八重樫の部屋をノックしてみた。 「八重樫、又、来た」  何だか、長い一日になっている。日中に八重樫の家に来たのが、遠い昔のような気分であった。 「上月と、李下さん」  八重樫がドアを開けたところで、隣の家から何かが飛び出してきた。それは、包丁を持って血塗れになっている男性であった。 「うわ、ドアを閉めて!」  俺は外に出ようとしたのだが、部屋に引き込まれると、代わりに小田桐が外に出ていた。  部屋で転がっていると、李下も外にいるままであった。 「李下さん!」  俺がドアから出ようとすると、八重樫が鍵をかけていた。 「小田桐ならば平気だし。李下さんもそうでしょ。上月を危険に晒せないよ」  でも、外の様子が気になる。少し窓を開けて見てみると、警察が来ていた。 「隣はどうなってしまったのだろ」  そこで、隣の部屋の仕切りを確認しようとすると、そこは押し入れになっていた。押し入れの隙間に入り込み、隙間を探してみると、小さな穴が開いていた。その穴から覗いてみたが、何も見えない。
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