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もう一つあり、それは李下が助けたであった。ただ助けたのではない、彼女が教祖を追って、村に来るように仕向けるだろう。
×の存在は、こちらの世界では一部にしか知られていない。遺伝子が人間のものとは異なるので、変に死体を解剖されたくはない。だから暴走した×は、村で捕まえ、限りなく遺伝子が人の者を用意するしかない。もしくは、解剖してもバレない死体を用意する。
すると、画面の中で李下が柱から姿を現した。次に教祖が現れる。
「あ、志摩は見張りを頼まれていたのか」
李下は気配を消すだけで、姿を見えなくする事ができる。じっと、誰もいなくなるのを待っていたのであろう。
「はい。監視カメラは慧一さんが操作しています」
李下は線路に降りると、教祖を連れて歩いていた。
「このゲームを開いているということは、彼女はこの映像を追って来るということか……」
そこで、志摩が頷いていた。
しかし、画面の景色を見ていると、どんどんここに近付いてくる。
「……ここから、村に連れてゆくのか……」
「そうです」
普通の人が、村の闇に耐えられるだろうか。
「……喫茶店ひまわり。開店準備を始めるけど」
「危険ですね!」
志摩が明るく答えてくれた。
日本刀には慣れているが、それでも、喫茶店ひまわりで事件を起こしたくない。最近まで喫茶店ひまわりは、霊現象が出る店として有名で、誰も客が来なかった。やっと、客が来るようになったので、又事件で悪い噂が流れるのは困る。
「ここに現れたら、村に強制送還?しよう」
事件を起こす前に、村に送ってしまえばいいのだ。
志摩を背負い、喫茶店ひまわりに行こうとしたが、その前に村と繋がる木を確認してしまった。ここを、どのように通そうか考えてしまう。
「村に……落とせないよね」
「でも、私の箪笥は村のものなので、落ちるようですよ」
志摩は試した事はないが、俺が背負っている時に何度か落ちそうになったという。
「……そうか」
志摩の箪笥は、丈夫に出来ているうえに、補強もしている。落ちても箪笥は壊れないだろうが、志摩は大丈夫なのであろうか。
「志摩は、落ちたら死ぬよね?」
「……結構、守人さんはあちこちで落としていますよ」
それは、昔は志摩と遊んでいるつもりで、滝から落としたり、木から飛び降りたりしていた。悪気があって落としたのではない。
「そうか……志摩も丈夫だね」
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