第七章 銀色 二

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 そこで、俺は自分の尻に手を当てて立ち上がろうとした。こんな場所で、中を出してもいいと言われても困る。風呂の横にトイレがあるので、湯を出して来よう。 「湯、足りませんか。あんまり入れると、奥まで入ってしまうでしょ?」  そこで、志摩に抑えられて、再び湯を入れられてしまった。水を絞り水圧をあげて、中に入れ込んでいるらしい。 「いや、志摩。出ちゃうでしょ」 「いいですよ、この排水に出してしまってください」  嫌だと抵抗したが、結局、志摩に指を入れられて中を出されてしまった。結構、屈辱的で、俺は無言になる。でも、無言をいいことに、幾度も中を洗われてしまった。そして、俺を湯に入れると、別の手が風呂場の掃除をしていた。 「守人さんの中は綺麗ですよ。でも、気持ち洗っておきたいでしょ?」  中を洗うのは知っていて、俺だって志摩とするとなれば、それなりに準備している。でも、志摩に強制的にされたのが、気に入らないのだ。 「守人さん、拗ねないで」  尻は慣らさないと気持ち良くならない、錯覚性感帯であった。神経も多く、敏感であるので、ものの大きさや硬さまで把握できる。でも、その分デリケートで、傷を受けやすい。 「守人さん、大好きですよ」  志摩も、俺が拗ねて困ると、大好きなどで誤魔化してくる。 「八重樫様の父親も、中々、慣らせなくて、今も最初が酷いらしいですよ」  それは、どこの情報なのであろうか。俺が顔をしかめると、志摩がそっと手で掴み湯からあげていた。 「小田桐さんのところに、村から横綱さんが来ていたのですよ。どうも、山の家の基礎を頼むようです」  そこで、横綱が喋っていたらしい。親子なのか、小田桐も八重樫を抱く時に苦戦しているらしい。人の家の屋根などでしている時は、すんなりと入れていたように思えたが、間が空くと大変らしい。 「そこで、慧一さんが漢方の塗り薬を作ったとか」  まさか、その薬があるとかいうのであろうか。志摩は俺をタオルで包むと、新しい箪笥の前に置いた。 「ええと、缶詰を持ってください」  缶詰を渡されたので、素直に手に持った。 「みかん、みかん」  この缶詰はみかんであっただろうか。ふと、手元を見ると、志摩に飲み込まれていた。 「うええええ、うええええ、不味い!」  志摩の吐き気に引き摺られたが、無事に中に辿り着いた。 「あ、久し振り」
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