第八章 銀色 三

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 でも、光で分かるのならば、もしかして、俺には簡単ではないのか。相手を傷つけたくなくて、俺は自分の光を当てるということは避けてきた。でも、教室に俺がいるだけで、苦しむ×もいた気がする。  溶ける、消えるまでではなく、不快と思うレベルの光でいいのだ。 「谷津、ソフトに俺の光は組み込めるの?」  そこで、唸っている図が画面に出ていた。 『上月の光はさ、呪文のような文様から出ているでしょ。そこを通過することで、浄化の光となっているのではないのかな』  確かに、俺は光を纏う時に、体に文様が浮かんでいる。この文様が重要であったのか。では、もしかして俺の写真から光を出せば、文様と同等になるのではないのか。 『しょうがないな、上半身でいいからさ、文様を見せてよ。ソフトに書き込むからさ』   そこで、光を纏い、全身の文様を確認してしまった。すると、足にも文様があり、足の裏にまで文様があった。怖いところでは、俺の内臓に文様が入っている。内側から染み出すように、内臓の文様が浮かび上がってくるのだ。 「上月!裸で何をしているの?」  リビングで確認していたので、部屋から出た李下が驚いていた。でも、俺はパンツを履いている。パンツの前の部分の中には文様がないが、尻にはあるらしい。 「どうも、俺の光はこの文様が重要のようです」  誰が文様を刻んだのか、生まれつきなのかは俺も知らない。でも、内臓に文様があるということは、生まれつきであろう。  李下も、俺の文様を確認していた。次に、大慈を出すと、文様を記憶させている。文様は画像の記録では、既に谷津に送信している。  李下が遠慮もなく、俺のパンツを引っ張り、尻の文様を確認していた。 「上月、この文様、尻の奥にもあるの?」 「あっても見ないでください」  模様は光で浮かび上がっているので、皮膚で確認しなくても大丈夫だと、李下が笑っていた。尻を見たのも、からかっただけのようだ。  しかし、画面では谷津が騒いでいた。 『上月に触れるな!』  そこで、今度は李下が3Dの映像にして、俺の模様を見せてくれた。 「大慈の記憶から、分析している」  大慈も×であるので、カメラよりも正確に光の模様を見ていた。 「内臓にある模様、表面にある模様、浮かび上がる模様、これは別々であり、でも、一つの護りになっている」
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