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「……ダイニングテーブル?」 四人掛けの小振りのテーブルとイスのセット。 「そう。あなた言ってたでしょう?膝が痛いって。だから、ご飯の時くらいイスの方が良いかとと思って」 そう言ってゆったりと笑う。 「そっか。ごめん……僕、てっきり……」 「なあに?」 「今の生活に、その……不満だらけなんじゃないかって」 俯いた僕の鼻を突然彼女がつまんできた。 驚いて身を引くと彼女もその手をぱっと離したが、目はいたずらっ子のように三日月型だった。 それが急に真顔に変わる。 「あなた、一体私と何年居るの?あなたの選んだ女はそんなもの?」 「え?……あ、いや、その……」 たじろぐ僕に彼女は畳み掛けるように言葉を次々と重ねていく。 「何よ、それ。今の生活に不満?それより今のあなたに不満よ!」 ……そうだよな、やっぱり。
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