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あの日はデートの後、夕食をレストランで食べてから、彼女の好きな海岸でプロポーズしようと決めていた。
言葉だって、指輪を買おうと決めたその日から、ずっと悩んでいた。
僕の心を伝えられる、それでいていつまでも彼女の心に残ってくれるような。
インターネットで暇さえあれば検索した。
『プロポーズ』『言葉』『感動』『場所』『シチュエーション』。
さんざん計画を立てて挑んだはずなのに、デート開始直後にまさかの土砂降り。
ゲリラ豪雨なんて生優しいものではない。
車のフロントガラスを打ち付ける雨の勢いはまるで、本当に彼女を幸せにしてやれるのかという神様からの攻めの言葉に聞こえた。
これからの二人の人生を予感させる、あまり縁起の良いものではなかった。
中々車から降りることが出来なくて、結局僕らは映画の始まる時間を過ぎてもまだ広いシネコンの駐車場に取り残されていた。
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