第一章 雪みたいに花みたいに

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「そうですか……志摩も持ち帰っていますか?」  そこで李下が、背負っている箪笥を部屋に降ろしてくれた。 俺は、李下にタオルを渡すと、箪笥も拭いておく。  李下は公務員で給料を貰っているので、バイト料は貰っていない。 今のバイトのシフトも俺の名義で入っている。 「いつも、ありがとうございます」  俺は李下に、深く頭を下げる。  李下はいつも、廊下を挟んだ向かいにある喫茶店ひまわりで、 俺の代わりに店員をしていた。 オーナーとの連絡が、ほぼインターネットでの営業報告のみなので、 人が違うと気付いていないが、李下が働いた分も、俺の給料に振り込まれている。
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