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「今日は客がいなかったから、売れ残ってしまったよ」
喫茶店ひまわりは、名前は喫茶店であったが、定食を多く売っていた。
今日は、台風のせいで夕食分が余った状態であった。
売上利益に応じての歩合制であるので、売れ残るのは痛い。
李下が風呂敷を広げると、幾つもの鍋が積まれていた。
俺は、鍋と李下を見比べてしまう。
志摩の箪笥だけでも相当重いのに、これだけの鍋を、よく担いできたものだ。
箪笥を降ろす所を見ていなかったが、箪笥の上に鍋を重ねて運んでいたらしい。
箪笥に少し鍋の跡が残っていた。
「かなり余ってしまいましたね」
「そうでしょ。でも、皆で夕食にしようか」
俺は、上月 守人(こうづき もりと)、薬剤師を目指している大学生であった。
だが、皆と少し違う面があり、特殊な能力を持ってしまっていた。
でも、それは珍しい事ではない。
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