第二十一章 継承するもの

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「谷津にも恋人がいたのか……」 「そういうのではありません、×ですから。セフレでしょうか。 バンドを組んでいて、楽器の練習をするのでうるさいのです」  真顔で、セフレなどと言わないで欲しい。 でも、相手の事を考えているということは、多少は好きなのであろう。  部屋に帰ると、俺は光二にチェンジする。 そこで光二も、谷津とあれこれ話していた。 近所であったので、光二も谷津とは面識があり、幼馴染でもあった。 「守人、手間がかかるだろう?」  しみじみと光二が、谷津に確認していた。 すると、大きく谷津が頷いている。 俺は光二の中で動けないが、谷津を殴りたい気分になった。 「でも、可愛いです。可愛いままで、全然変わっていなくて、驚きました」 「そうだろう。俺も驚くけど、守人、全く成長していない」  やはり、急いで光二とチェンジして殴っておきたい。 しかし、昔と同じ谷津の笑顔があった。
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