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箪笥から手だけ伸ばしているのは、志摩(しま)、俺の幼馴染で、今は恋人でもあった。
志摩は、無形の生き物であり、俺の出身地である壱樹村(いつきむら)では、
×(ばつ)とも神とも呼ばれる存在であった。
志摩は、手を伸ばすと皿を持ってきて、総菜を盛り付けていた。
志摩は手しか出ていないが、ちゃんと見えていて、惣菜を綺麗に盛り付け、
更にテーブルに並べている。
「李下さん、食事にしましょう」
元風呂屋のここは受付部分で、残っていた備品をそのまま使用していた。
李下は、待合に使用していた椅子に座り、食事を始めていた。
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