第一章 雪みたいに花みたいに

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 同居しているといっても、ここは敷地面積があったので、三つの独立した部屋で、 リビングが共有の状態に近い。 李下は、元更衣室を改造して使用しているが、そこにも、寝室と居間と風呂、 トイレなどが別にある。  食事だと聞こえたのか、もう一人の同居人の黒川が、ドアを開けて入ってきていた。 黒川はホストで、夜から仕事であるが、今日は電車も止まっているので、 休みなのではないのか。 「飯……どこ?」  黒川は寝起きが悪く、今も半分は眠っている。 俺が、食事のトレーを持たせると、首を傾げていた。 「……少ない」 「おかわりしてください」  すると、黒川が頷き、受付にイスを持って来ると座っていた。 受付は、昔の風呂屋の名残の受付であるが、黒川はその高さが好きらしい。
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