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大雑把に躰の水気を拭い、浅丘は再び俺を抱き上げる。どこまでも甘やかされながら、これからの事を思えばそれくらいは甘受しても罰は当たるまいとそう思う。
「いいなぁ…俺も内海さん抱っこしたい」
「そのうちさせてもらえ」
そんな遣り取りをする二人に再び寝室へと連行された俺は、浅丘の長い脚の上に背中を預けさせられた。高槻が手に持った透明なボトルの中身をたぷたぷと揺らす。いったいいつからそんなものまで用意していたんだと呆れながら思いつつ、浅丘の事だから準備が良いのは当然かとも思えば納得してしまう。
優し気な顔の浅丘に見下ろされながら頭を撫でられるのは心地が良い。そう思えば案外、俺は元から甘やかされていたんじゃないかとふと気付いてしまって思わず照れる。赤くなっていそうな顔を隠そうと大きな枕を引き寄せてみたものの、それはあっさりと浅丘に奪われた。
「な…」
「隠すなよ」
「っ…そうじゃ…なくて…」
隠すなと言われると逆に意識してしまって増々顔に熱が集中する。どうにか顔を隠せないかと、ついすぐ近くにある浅丘の腰に額をくっつけた俺は、きっとどこからどう見ても滑稽だったろう。
それなのに、耳に流れ込む高槻の声は楽しそうだった。
「内海さんって天然ですよね。いちいちする事が可愛すぎません?」
パチンッとボトルの蓋を跳ね上げながら言う高槻に、まるで同意でもするかのように浅丘が髪を撫でる。滑稽だろうと思っていれば可愛いなどと言われ、意味も分からずそろりと顔をあげれば楽しそうに笑う高槻の顔。
「ちょっと冷たいかもしれませんけど、我慢してくださいね?」
「ぇ…? ……ひあっ!?」
トロリとボトルの口から垂らされた液体に思わず声をあげてしまう俺を、高槻がクスクスと笑う。
「我慢してって言ったじゃないですか。なんでそんなに可愛い声出すかなー…」
「うぅ……」
「まあ、もっと可愛い声で啼かせてあげます」
そう言って男らしい笑みを浮かべた高槻の手が、風呂場の時と同じように双丘の奥へと伸ばされる。同時に浅丘の大きな手が濡れた屹立をゆるりと扱いて、その刺激に俺は腰を跳ねさせた。
「んあッ…あ、はじ…めっ」
「どうした? 気持ち良くしてやる」
前を浅丘の手で擦り上げられながら、後ろの穴を高槻の指がゆるゆると揉みしだく。気持ち良いような気持ち悪いような奇妙な感覚に捕らわれて、俺は背筋を震わせた。
「はっ…やッ、なんか…変っ」
浅丘の腰にしがみ付けば、下の方からくちゅくちゅとローションの濡れた音と、高槻の楽しそうな声が聞こえてくる。
「あれー? 内海さん、もしかして普段からここ、自分で弄ったりしちゃってます?」
「っ!? …してなっ」
「本当ですか? すげー柔らかいんだけど。これでバックバージンとか信じられないですよ?」
「バッ!? や…っ、ちょ…指入れな…っんあ、ぃゃぁ…かおる…ぅ」
「あー…それは逆効果です内海さんっ」
入口に少しだけ潜り込んでいた高槻の指が、一気にぐにりと体内に入り込む。痛くはないけれど、普段は何かを飲み込むことになんて慣れてもいないソコを、異物が逆流する衝撃は大きかった。
「あっ、やだッ…やっ、…っ抜いて! 気持ちわるぃ…からぁ」
「うん? 痛くはないです?」
「痛くな…っ、きもちわるいぃ…」
「もう少しだけ…我慢して? ね?」
優しく言いながら腰を撫でさすられて、思わず詰めていた息を吐き出す。ゆっくりと襞の中を指が行き来する度、喘ぐように息をする口から小さな声が漏れていたけど気にしている余裕なんてない。
尻の穴を指で弄られるなんて恥ずかしくて死にそうだ。…った筈なのに。高槻の指がぐるりと中を掻き回した時だった。
つま先から電流が走ったような気がして、勝手に腰がビクリと跳ねる。
「ひあぁあッ!?」
「内海さんのイイトコみっけ」
ニヤリと端正な口許を歪める高槻に、ドクンと心臓が大きく脈打った。あれ? と思う間もなく同じ場所をぐりっと抉られて、堪らず浅丘に助けを求める。
「肇っ…やッ、助け…躰、おかしッ…んあっ、はじめぇ…ッ」
「おかしくないだろ? 中の気持ち良いところ抉ってもらえて良かったじゃないか」
ゆるゆると俺の屹立を扱いていた指が外れて、陰毛を辿る。浅丘はちょうど雄芯の付け根辺りでその指を止めた。
「そうだな…ちょうど…ここか?」
ここか? と、そう言って下腹部を浅丘の指にぐっと押し込まれ、中の高槻の指とで敏感なシコリを挟み込まれて、その衝撃に頭の中が真っ白になった。
「ひぐッ、――…ッッ!!」
仰け反った喉から言葉にならない声が漏れる。同時に、俺は屹立から勢いよく白濁を吹き上げた。ドクドクと脈打つように先端から雫を垂らす雄芯は、触られてもいない。
尾を引くような快感が全身を満たして、何も考えられなくなる。
「あ…あっ、はっ…ぁ、ぁぅ」
何が起きたのかも分からないまま呆然としていた俺は、浅丘の指に眦を拭われて自分が泣いていたことを知った。
「泣くほど気持ち良かったか?」
「なん…で…俺…」
「まあ、前立腺を内側と外側から刺激されれば、堪えようもないんじゃないのか?」
「ぜんり…って…嘘…」
呟くように言えば、短く喉を鳴らした浅丘に再び腹の辺りを撫でさすられる。
「嘘だと思うなら、もう一度やってやろうか?」
未だ体内に埋め込まれたまま入口をぐにぐにと押し広げていた高槻の指が、浅丘の指先のすぐ下までまた入り込む。カリカリと敏感な部分を内側から軽く引っ掻くように刺激されて、無意識に腰が跳ねる。その様に、浅丘は小さく笑った。
「随分おねだりが上手だな?」
「っ違…薫が…っ」
「そうだな。だからお前は気持ち良くなってまたこんなに硬くしてる訳だ…」
長い指先が雄芯を撫で上げる。腹に飛び散った精液を掬い上げては塗り込むように浅丘の指が動き、くちゅくちゅと卑猥な水音が耳を刺激した。
「はっ…あッ、ああっ…ん、やぁ…」
中と外を同時に弄られて、勝手に声が零れる。恥ずかしさも既に通り越してしまって、与えられる刺激に夢中になってる俺の耳に、高槻の声が聞こえた。
「そろそろ大丈夫そうですけど、どうします? 先にくれちゃったり…しませんよね?」
「欲しいのか?」
先とか後とか、そんな事を俺に聞いてくれるつもりもない二人が交わす会話を、俺はただ快感の中で聞くともなく聞いていた。
「え? そりゃまあ…内海さんの初めてですし?」
「だったらくれてやる」
「マジですか…。なに企んでるんです?」
「その代わり中に出すなよ」
「あー…はい、了解です」
ずるりと尻の穴から高槻の指が引き抜かれれば、なんだか物足りなく感じてしまって俺は小さな声を漏らした。相変わらず浅丘の手でゆるゆると雄芯を扱かれ、その気持ち良さに身を委ねていた俺は、だが次の瞬間躰をひっくり返される。
あっという間に犬のように四つん這いにさせられ、背後に熱を感じておずおずと振り返った。案の定そこに高槻の姿があって、その端正な唇がゆっくりと動くのを呆然と見つめる。
「怖かったら浅丘さんにでもしがみ付いててください」
「え? …あ、待っ…ひぐッ!」
「ぅは…やば…っ、気持ち良い…です、内海さん…」
「ああぁあっ、嫌っ…抜いてっ、抜い……薫ッ」
指とは比べ物にならない太さの雄芯が襞を割り開く。巨大な質量が腹を満たしていく感覚に反射的にずり上がろうとした俺の腰を、高槻がガッチリと掴んだ。
「逃げちゃ駄目ですよ。もうちょっと…で、全部挿るから…っ」
「ひやッら…も、入んな…っ」
もうちょっとと、そう言われて思わず目の前にある浅丘の脚へとしがみ付く。縋るように見上げれば、困ったような顔で頭を撫でられた。
「大丈夫だ庸二。痛くはないだろう?」
「おっきいのヤダぁー…」
恥も外聞もへったくれもなく縋りついてみるものの、やっぱり困ったような声で言いながら浅丘に頭をぐいっと押される。
「ぅえ…?」
「高槻のが挿らないんじゃ、俺のは到底無理なんでな。少し我慢しろ」
「ッ……」
浅丘の雄芯を目の前に突きつけられて、思わず言葉に詰まった俺は高槻に犯されている現実を一瞬にしてすっかり忘れ去った。大きすぎて絶対に入らないと、そう思う。
「嘘…だ。……無理…」
「無理かどうかはともかく、せっかくだから口でしてくれないか?」
「なん…はぶっ、んんッ」
口どころか鼻まで押し付けられて苦しさに呻いていれば、浅丘の優し気な声が耳に流れ込む。だが、その台詞はもはや脅しでしかなかった。
「うん? 苦しいのが嫌なら、ちゃんと自分で出来るな?」
「んうッ、んんんッ、…ぷはっ、はっ…は…ぅ」
苦しくてコクコクと必死に頷くしかない俺は、ようやく手を離されて空気を貪った。その耳に、再び浅丘の声が流れ込んでくる。
「ほら庸二。高槻のも全部飲み込めたじゃないか、偉いな?」
「っは…ぁぅ、…あ、お腹…おもぃ…」
いつの間に飲み込まされたのか、尻にぴったりとくっついた高槻の下生えの感触があってほっと息を吐く。動くつもりはないのか、それとも待ってくれているだけなのか、ともあれ圧迫感はあっても痛みはなかった。
ぼろぼろと泣きながら情けない声で言えば、浅丘が苦笑を漏らす。そのまま軽く頭を押されて、唇に硬い雄芯が当たった。
「それだけ話せるなら余裕だな。ほら、舐めろ」
「んむぅ…はぷ…ぅっ」
唇に当たったそれを横からあむあむと食んでいれば、ゆるりと頭を撫でられる。
「横からじゃなくて、上からだ庸二」
「ぅぅ…こんな…の、入んな…」
「なら、無理矢理喉の奥まで突っ込んでやろうか?」
「ぃゃ…だ…」
涙目で見上げる視線の先で、にこりと優し気に微笑む浅丘の声はもの凄く優しい。それなのに言う事が怖すぎて、だんだんどっちが本当なのか分からなくなってくる。
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