あの夏の日のコーヒー牛乳

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あの夏の日のコーヒー牛乳

 夏が来れば思い出す――  そのフレーズのように、僕もまた夏に思い出すのだった。 「思い出すんですよねぇ……」 「何をだ」  あまりにしみじみと思い過ぎたせいで、うっかり声にしてしまったらしい。「宇原はでっかい独り言を言う男だな」と思われるのも何なので、僕は発した呟きの説明をする。 「いや、子供の時にですね、1人で爺ちゃん家に泊りに行った事があるんですよ。そこで飲んだコーヒー牛乳が美味しかったな~って」  その名の通り、コーヒーと牛乳を混ぜて作った、カフェオレとかカフェラテなんて洒落た名前はむしろ馴染まない、いかにもコーヒー牛乳と呼びたい素朴な味わいだった。甘くて美味しいって思った記憶もあるから、砂糖も入っていただろう。  余談ながら、「牛乳」って名称は牛乳100%の品物にしかつけられなくなったから、「コーヒー牛乳」っていう名前の商品はもう無いそうだ。そう言えば、途中から何だか見たくなったな~って思ってたんだ。 「……そうか、コーヒー、が」  ゴリっと奥で噛み締めるようなその言い方に、はっとなった。     
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