運命は突然に【オメガバース】

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 そうだと答えた颯にとって、実家はあまり居心地が良い場所ではない。というのも、両親はどちらもβで、自分たちの間からΩが生まれた事で何かと態度が煩わしいのである。悪い意味で。  色々と関わるのさえも面倒で、颯はこっそりホストクラブで週に幾日かのアルバイトをして生計を立てていた。  Ωという事もあって、あまり防犯上無防備な物件に住むわけにはいかず、家賃は少々高くなってしまうのは致し方がない。  だが、Ωだからこそ颯目当ての客は高確率でαが多い。つまり、社会的地位も高く金も持っているという訳である。  颯がキッチンで飲み物を用意していれば、真壁が背後に立った。躰を支えるようにさりげなく腰に腕を回す真壁を、颯が見上げる。 「αってみんなこんなんなの?」 「さあ。ただ、好きな相手に優しくしたいと思うのは、αとか関係ないと思うけど」 「そういう事、言ってて恥ずかしくなんねえ?」 「神楽が聞きたくないって言うならやめるよ」  きっぱりと言い切る真壁に、颯は顔を顰めて小さく首を振った。  優しくされるのは、颯にとってあまり喜ばしい事ではない。何故なら、発情期中に心配ばかりされていては堪ったものではないからだ。それに颯は、倒錯的な行為が好きなのである。     
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