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自信たっぷりに言う真壁は、まだ二日目なのに颯の欲求を予想以上に満たしてくれていた。発情期だというのに颯の方が満足してしまう事など、初めてだ。
「俺、もしかして地雷踏んだかもしんない」
「β相手に満足できる筈がないだろ。まあ、お前が気付くまでは遊ばせてやる」
遊ばせてやると、傲慢な口調で告げる真壁に、颯の心臓がドクリと跳ねた。既にお前は自分のものだとでも言われているようで、不思議な気持ちになる。だが、何故か颯はそれが嫌ではなかった。
◇ ◆ ◇
一週間は、あっという間に過ぎた。颯の発情期が終わるとともに、真壁の態度もまた優しげなそれに戻っていた。
保険と言って着けられた筈の首輪だったが、この一週間、颯は身の危険を感じた瞬間など一度もなかった。
それどころか、いつもであれば一週間の疲れが溜まって発情期が終わればすぐにでも相手を追い出す颯は、一日を真壁と共に過ごしたのである。
「良かったらアドレスくらいは教えてくれないか?」
メールをしたら弁当を作ってくれるという真壁の一言に、颯は屈した。大学生にとって、旨い飯ほど魅力を感じるものはないのだ。
それから週に一度くらいのペースで、颯は真壁と大学の構内で会うようになった。
真壁の作る弁当は質も量も颯の欲を満たすもので、文字通り胃袋を掴まれたのである。
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