お気に入りのスナック

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その後、僕は病院に頻繁に通って、ママさんの話し相手になった。 身寄りのいないママさんが、少しでも寂しい思いをしないようにと思ったからだ。 今の僕には、こんなことくらいしかできなかった。 僕は、スナックの開店前に顔を出して、開店準備を手伝ったり、次の日会社が休みの時は、閉店後の後方付けを手伝ったりした。 次の日会社が休みのある日、僕が閉店後の後方付けを手伝っていると、美穂さんが話しかけてくれた。 「ひろさんに、こんなことまでしてもらっては申し訳ないですよ!」 「いいや、僕はこのスナックがなくなると困るから、ママさんがいない間は、何か手伝わせてください。」 僕は率直に話をした。 この日は、3人で後方付けをした後、僕は、たまには一緒に飲みにでも行こうと美穂さんと佳奈さんを誘った。 深夜営業の居酒屋を探して3人で入り、まずは生ビールで乾杯した。 「お疲れさま!  乾杯!」 このように、スナックの外で3人で飲むのは、はじめてのことだ。 「こうして飲むのもいいかもね!」 僕が発言すると佳奈さんが、 「ひろさん、誘ってくれてありがとう!」 とお礼を言ってくれた。
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