お気に入りのスナック

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アパートに帰った僕は、今回のママさんからの話をどう受け止めるべきか悩んでいた。 平凡な会社員の僕は、飲食店を経営した経験はないわけで、僕がスナックの経営をうまくやっていく自信は、まったくなかった。 このママさんの話は、店員の美穂さんと佳奈さんに正直に話をして相談しようと考えた。 週末、いつものようにスナックに行ってカウンターで飲んでいると、他にお客もいなかったので、美穂さんと佳奈さんにママさんの話をすることにした。 「美穂さん、佳奈さん、大切な話があります。  落ち着いて聞いてくださいね!」 二人は顔を見合わせてから、神妙な面持で僕の顔を見て、 「はい」 と返事をしてくれた。 「もう気が付いていると思うけど、ママさんの病状、良くないんだよ!  担当医に話しを聞いたけれど、肝臓がんで肺にも転移しているから治療は難しいと言っていたよ!」 すると加奈さんが、 「洋子ママ、助からないの?」 と聞いてきたので、僕はしっかりとした口調で、はっきりと答えた。 「担当医から、余命3ヶ月と言われたよ!」 すると、佳奈さんが涙を流し始めた。 「僕もとても悲しいけれど、現実を受け入れなければならないんだよ!  今は、ママさんのために、できることは何でもしたいと思っているんだよ!」 美穂さんが、静かに落ち着いた口調で話しをした。 「ひろさんが、おっしゃる通りですね!  私にもできることあるかな?」 僕は、二人へのお願いをすることにした。 「二人にお願いがあるんだけれど、時間がある時は、ママさんの病院に行ってあげてください。  あと、お店大変だけれど、何とかお店を開けて、続けてください。」 僕の話に、二人は頷いていた。
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