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始まりから三年。
神代は相変わらず望を抱いていたが、最近になってぐんとその頻度は減った。
三年も経てば飽きもくるし、恋人同士でも浮気だ倦怠期だと危機を迎える時期である。
ましてや恋人でも何でもないセフレ関係なのだから、逆に三年間もよく続いたものだと思う。
街中で偶然、神代と高等部生徒会のメンバーを見かけた望は、神代の連絡がここ最近途絶えている理由を目にした。
一人のΩの少年を取り囲むように、彼らは楽しげに歩いていた。
会長である弟の親友はいなかったが、他のメンバーは勢ぞろいしていた。生徒会役員はΩの少年をのぞき、全員αだ。
もちろん神代も。
神代は生徒会会計を務めている。
五月に高等部へ転校してきたΩの男子生徒が、あっという間に生徒会役員全員を虜にしてしまった話は、弟から聞いていた。
風紀委員長として学園の秩序を日々精力的に守っている弟が、珍しくやや疲れを滲ませた顔で教えてくれた。
「あれが…」
神代は笑っていた。
無邪気に、――いつも自分にむける意地の悪い顔じゃなく、年相応に朗らかに屈託なく。
その笑顔を向けられているのは、――Ωの可愛らしい少年。
望はコンビニの店内から、車道を挟んだ反対側の歩道を歩く華やかな集団が通り過ぎるのをぼんやりとした眼差しで見送った。
(……わかっていたことじゃないか)
わかりきっていたことだ。
αが選ぶのはΩだ。
それが世界の常識であり、不文律である。
(馬鹿だな……、僕は)
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