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色んなエルフがいるように、色んな人がいる。 しきたりも違う。
村を離れてから私は、前にも増して頻繁に人間の村を訪れるようになった。
といっても、今のところ何をしていいか分からず、適当に村を回ると結局酒場に入り浸って、安酒をちびちびと飲みながら人間観察するだけだが。
正直いい加減飽きてきた。
最初は物珍しかった酒場の喧騒も、慣れてしまえば何て下らない事か。
期待を膨らませて読んだ瓦版はただのゴシップ紙で、やれどこぞの貴族が不倫をした、最近の若者は礼儀がなっていないだの、教会の禊用の泉が汚された。きっと蛮族亜人がやったに違いない! などの偏向記事が書き連ねてあるばかりだった。
こんなものに人間は麦酒2杯分以上のお金を出して読んでいるのかと思うと呆れてしょうがない。
まあ、国からの御布令もちゃんと書いてあったりもするので、読んでおかないと困る時は困るかも知れない。
でもそこら辺は皆の話に耳をそばだてて注意しておけば良いだけの話だと私は判断し、私は3回読んだところで瓦版の購読は止めた。
その日も時間を持て余して酒場に来て、空になった盃を手にヒト族達を観察していた。
折角だから今日こそは話に混ざろうと思って何日目だろう?
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