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同居
ある日、たま子がたくさんの雑誌とディスクを送りつけてきた。すべてすず香が出ているもので、「もう貸せるものはない」と宣言した直後だった。
「どうしたのこれ」
「所内にすず香マニアがいてな、借りたんだ」
「わざわざ借りてくれたの?」
そんな手間をかけなくても、その人を紹介してくれれば早いのに。たま子が顔をしかめる。
「あまりおまえと近づけたくなくてな」
「どうして?」
「――独身なんだ」
「え? ――だから?」
「画像の姫に本気で恋している風がある」
安治は苦笑いしつつ、その人に共感も覚えた。自分だって同じようなものではないか。しかしたま子の様子を見る限り、よほど癖のある人物なのだろう。
返さなくてはいけない都合もあり、さっそくその日からすず香漬けの毎日が始まった。
すず香は人気の女優だけあって、いろんな内容の作品に出ていた。激しく責められるものやいじめられているだけにしか見えないものもあれば、すず香が責める側なのもあった。きれいな娘とからむ擬似レズものもあれば、男装しての似非ボーイズラブものも。
凝った内容のものよりシンプルなほうが安治の気に入った。
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