同居

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「わかんないじゃん、おりょうちゃんにだって好みが」 「でもな、おまえと姫は似合っていると思うぞ」 急に褒められる。安治は軽く照れた。 「そう?」 「ああ、似てるじゃないか」 「…………」 やっぱりか、と頷く。すらりとした体形、面長の輪郭、切れ長の瞳に薄い唇。同じ系統の見た目だと薄々感じてはいた。つまりおりょうは、安治の母や姉に少しだけ似ている。親近感が湧く代わりに劣情が刺激されないのは、そのせいもあるのではと分析する。 「とにかくな」とたま子が男前な表情で言う。 「向こうだって期待して来ているのかもしれんのだから、がっかりさせるなよ」 「……期待?」 上手下手の期待なら、されるだけ困るのだが。たま子は頷く。 「一緒に暮らすイコール、ヤれると思っているだろ」 はっとした。おりょうは女であると同時に男なのだ。『異性』との同居を打診されて、ひょっとしたら喜んだかもしれない。安治はついおりょうを受け身とばかり思ってしまうが、向こうからしたら性行為は「やられる」ものではなく「やる」ものなのかも。 期待がはずれて寂しく一人寝をさせているのではかわいそうだ――安治はようやく決心がついた。
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