その夜

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その夜

夕食のあと、コーヒーを置いて隣に座ったおりょうの動きを横目で観察する。手を腿に置くのを見計らって、その手をそっと握る。 「……今日……」 やっと言えたのが、それだけだった。おりょうは「はい」と返事をしたあと、次の言葉を待っていたが、特にないのを用件と取ったらしい。 「支度をしたら伺いますね」 手を握り返してふつうの口調で返す。安治だけが赤くなった。 先に安治が風呂を使って、それからベッドでゴロゴロしていた。おりょうは時間をかけて風呂に入ったあと、自分の部屋で身支度を整えた。やっと出てきたとき、白襦袢に裸足姿で、髪は軽く束ねていた。 「失礼します」 隣に乗った重みでマットレスが沈む。こちらを向いて横たわる。安治は緊張してそちらを見ることも動くこともできなかった。 待っても無駄と判断したのか、じきにおりょうが動いた。安治の肌着の胸に手を当てる。やさしく撫で、体を起こしてシャツの上からキスをする。温かく湿った感触が何か所もついては離れる。 その唇がやがて胸の突起にたどり着いても、安治は動けなかった。 おりょうの手のひらが胸を大きく撫でる。舌がくすぐるように突起に触れ、ぱくっと吸いつく。そうされても特に気持ちいいわけではないので、ただこそばゆい感じを耐える。 手が腹に下がった。腹筋や脇腹を撫で、唇も徐々に下がっていく。 シャツをめくって臍の周りにキスをする。そのまま下腹部に移る。 腰骨から腿の内側に手が這う。股間の上の恥骨の辺りを撫で、キスをする。
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