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「持っててください」
おりょうはかまわず進める。安治の手を本人のペニスの根元に誘導する。またがろうとしたおりょうは、その勃ち方が不十分だと判断して口を使い、改めてまたがる。手際がいい。
おりょうの入口に先端がぶつかったところで、安治が慌てる。
「いきなり挿れるの? 痛くない?」
指でほぐしたりしてから挿れるのではないのか。おりょうはさらっと「もうほぐしてあります」と答えた。
――料理番組じゃないんだから。
オーブンにグラタン皿を入れた次の場面で「焼きあがったのがこちら」と台の下から別の皿を取り出すところを思い浮かべる。
それよりも、ほぐす行為というのは愛撫の一環ではないのか。自分でできるのだからすればいい、という話なのか?
おりょうはきっと、仕事だからさっさと終わらせたいのだ。恋人候補と時間をかけて分かり合おうというつもりはないのだ。そう思うと急に物寂しくなった。
「そんなに俺じゃあ頼りになら……ああっ……」
最後は呻き声になった。おりょうは安治が何か言うのを待たず、自ら挿入した。自分で角度を調整してほとんど一気に根元までくわえこみ、自ら揺れる。
「はい?」
一応聞き返すものの、その目は早くも焦点が合わず情欲に溺れている。
――したいだけか。
安治はさきほどの考えを少し訂正した。たぶん、指よりモノがほしかっただけだ。
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